睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は眠っている間に呼吸が止まる病気です。無呼吸自体で即、窒息死を起こすことはありません。しかしきちんと睡眠を取れていないことなどにより、体がじわじわと侵され、脳梗塞、高血圧症や心筋梗塞などになったり、昼間の眠気により労働災害や交通事故を起こしたりすることが問題視されている病気です。近年では、認知症との関連も示唆されています。
小児の睡眠時無呼吸症候群では、夜間の成長ホルモンの分泌が減少するため、発育に影響が出ます。
多くの患者さんの原因は閉塞性睡眠時無呼吸症候群と言って、下図のように舌根部や軟口蓋(のどちんこの付け根)付近で気道が閉塞することです。

小児では、年中いびきをかいている、成人ではいびきが大きい、昼間すぐ眠くなる、夜間何度も起きるなどの症状があります。このような症状のある方は検査をすすめます。
睡眠時無呼吸の検査
まず、外来で簡易アプノモニターを貸し出しますので、家庭で簡易検査を行っていただきます。その結果、睡眠時無呼吸が疑わしい場合や重症度に応じて治療方針をたてる必要がある場合、終夜睡眠ポリソムグラフイー(PSG)を行います。
この検査は、睡眠状態を見るために脳波、筋電図・眼球運動図など、睡眠中の呼吸の状態をみるために鼻の気流、お腹と胸の動きや血液中の酸素の濃度などを測定して無呼吸状態を詳しく検査します。測定には体にセンサーを取り付けますので、少々わずらわしく感じるかもしれませんが、痛みを伴う検査ではありません。当院では夕方入院していただき、検査を行い、翌朝退院することができます。
睡眠時無呼吸の治療
検査後、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、患者さんにあった治療法を選択します。同時に、ご自身で生活習慣の見直しも行うようにしましょう。喫煙者は禁煙が重要です。肥満ぎみの方は運動を、アルコールを飲む方は就寝前の飲酒は控えるようにしましよう。また、睡眠薬などを服用している方は、主治医にご相談ください。薬の中にはかえって無呼吸を悪化させるものがあります。
・CPAP療法(持続的陽圧呼吸療法)
就寝時に患者さんの鼻から空気を送り込み、気道は閉じてしまわないようにする方法です。中等~重症の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の標準的治療法として確立している方法です。鷹の子病院では多くの患者さんをCPAP療法で治療しています。


・口腔内装置(マウスピース)
カスタムメードで作製したマウスピースを就寝時に用いる方法です。上下の顎を固定し、下顎を上顎より前に出す形で無呼吸用のマウスピース作成になれた歯科医師が作製します。軽症の睡眠時無呼吸の患者さんに処方されます。
・手術
小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、扁桃腺とアデノイドを摘出・切除が有効です。成人で鼻閉が強い方は、鼻閉を改善する手術を行うことがあります。
・舌下神経電気刺激療法
顎の下の舌を動かす神経を睡眠中に電気刺激する方法です。CPAP療法がうまくいかない患者さんに行います。装置を埋め込む手術が必要になります。